【鉄ちゃん関係話】消えゆくもの・・・(1)加賀一の宮

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 またひと月ほど記事を空けてしまった。これでブログって言えるのだろうか・・・ま、それはともかく・・

 近頃世間では、合理化とか効率化とかという名のものに物事の無駄はどんどん省いていこうという風潮になっている。特に最近は事業仕分けとやらで、無駄と思われるものがあれば有無を言わさずバッサリ切っていくというのが受けているらしい。ま、無駄を省くのは必要なことで大いに結構であるが、一方で何か心の中まで切られているような感じもあってあまり穏やかな気分ではない。

 むろん、各企業では不安定な経済情勢の中、少しでも無駄をなくし、赤字部門があれば整理していくというのはすでに至上命題になっているわけで、必死である。

 それはさておき、石川県を走る北陸鉄道は石川線と浅野川線というのがあって、(昔はもっと路線があった。)そのうち石川線は金沢市内の野町という駅から我が住まいの最寄り駅の鶴来(つるぎ)を経由して、白山比咩(ひめ)神社のある加賀一の宮という駅まで繋がっていたローカル鉄道である。東急の使い古しの払い下げ車両2両編成で田園風景の中をのんびり走っている。乗客はまばらで、はむ!も何度も乗っているが、座れなかったためしがない。そもそもこの路線は金沢駅や繁華街の片町・香林坊あたりには直通していないため、利便性も良くなく金沢市内に出るときは大抵は車になってしまう。そんなわけでこの路線は赤字が増える一方だ。

 このうち、鶴来と加賀一の宮間の乗客は平均で5人で、誰も乗ってないのに走っているのを何度か見かけたことがあった。そして、設備が老朽化しても改修する金もなく、改修しても客が乗ることも見込めないことから、この区間の廃止が地元に示された。地元としては、特に高齢化が激しい地域で交通弱者も多く、足がなくなるということで当然反対の声が上がったが、残すための決め手もなく今年10月いっぱいで廃止となってしまった。この路線は82年の歴史があり、かつては観光客や参拝客などで栄え、また、金名線と言って、金沢と名古屋を結ぶという壮大な計画までされていた路線であるが、その夢は叶うことなく静かにその幕を閉じたわけである。(最終日だけは全国から大勢の鉄道ファンが集結していたが・・)

 写真はありし日の加賀一の宮駅(2009年3月ごろ)

 さて、我々の住む周辺では、隣の小松市で、小松駅前の大和百貨店が来年閉店、コマツ(小松製作所)の小松工場が閉鎖、白山市でキリンビール工場が撤退などと、企業も赤字を理由にどんどんリストラを敢行。不便で仕事がないから人が離れる、そして人がいないから店も撤退と、まさに負のスパイラルだ。こんな状況では心の余裕など持てるわけがない。

 赤字だから、無駄だから、廃止、削減。仕方ないといえば仕方ないのだが、何か無力感がある。ほんの少しの無駄は人の心を活性化させる意味でも必要なのではないだろうか。

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